3月16日午後17時20分、JR西労組中央闘争委員会は2006年春季生活闘争について、仕事給昇給の完全実施と年間臨給5.45箇月を確認し、席上で妥結した。
私たちが置かれている厳しい環境の中、ベースアップと昨年並みの年間臨給は獲得できなかったものの、技術力と経験を持ったベテラン組合員の処遇改善に道筋をつける55歳以上組合員の在職条件の改善を果たした。また、安全輸送を支える多くの組合員の意欲向上に資する諸手当の改善を図ることができた。
2006年春闘にあたって、JR西労組は私たちの置かれている状況を認識し、安全への設備投資、社会的に理解の得られる被害を受けられた方々への補償を最優先し、なお、配分すべき成果については、組合員の安全輸送遂行に向けた努力に対して、配分を行うべきであるとの基本認識に立ち、JR西日本の責任組合であるとの自覚を持って、JR連合方針に則り、純ベア2,000円を要求の柱に総合生活改善闘争強化にむけ、9回に渉る精力的な交渉と粘り強い折衝を積み重ね、最終回答を引き出した。
こうした私たちの主張に対して、会社は「今年度の業績についてみると、運輸収入は、中間決算においては順調に推移を示したものの、1月・2月の収入動向等を勘案すると営業利益は対前年と比較して20億の減収、当期利益については、事故の影響を含めて対前年130億の減益となる見込みである。特に来年度以降においても、更なるハード対策の整備や社員教育の充実をはじめとした様々な施策に取り組み、早期に信頼回復を図るべく安全性向上計画を着実に推進していく必要があり、一方で、収益面についても、新空港の開港等によりさらに厳しさを増すことが想定される。以上のような厳しい状況、とりわけ、福知山線列車事故の重大性を会社全体として受け止めなければならない。これまでの社員の頑張りについては会社として認識しており、精一杯の回答をしたい。」との認識を示し、賃金引上げについては実施しない。年間臨給5.45箇月、特に55歳以上の在職条件の見直しについては、平成2年の定年延長以降、実質的に初めての見直しであり、極めて大きな決断をしたものであるとの内容で最終回答を示した。
中央闘争委員会は2006春闘の最終場面を迎えるにあたって3月15日、第2回地本代表者会議を招集し、かつてない厳しい情勢と労使の到達点について、中央・地方の情勢認識の共有化を図り、中央闘争委員会への一任を確認し、最終交渉を迎えた。
残念ながらベア、昨年並みの年間臨給の獲得は果たせなかったものの、安全最優先の企業風土作りに向けて、重要な課題である技術継承の中心的役割を果たす経験豊かな中高年者に対して、現行賃金制度のなかで特に改善要求の強かった55歳以降の在職条件を改善したことは、技術継承、意欲向上の観点からも大きな成果であるといえる。
私たちは、厳しい情勢下のなかで妥結に至った今春闘での成果を糧に、安全確立、信頼回復に向けた更なる取り組みと一企業一組合に向けた取り組みに、引き続き全力を挙げることの決意を改めて確認するものである。
最後に、昨年のJR福知山線事故以降、安全輸送と社会的信頼回復に向けて各職場で懸命に努力している全組合員とご家族の皆様に心より感謝を申し上げ、JR西労組組合員同様、鉄道の安全を支えていただいているJR西日本グループ各労組の春闘交渉へのより一層の支援を決意し、中央闘争委員会の見解とする。
2006年3月16日
西日本旅客鉄道労働組合(JR西労組)
中 央 闘 争 委 員 会
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