■11月10日東京新聞も大きく報道
ー新幹線でイラク復興ー
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「イラク復興支援で”新幹線”を走らせよう」とJR西日本の二つの労働組合が名乗りを上げた。治安安定が前提なるが、活動が見えにくい自衛隊に代わって”効果的”な支援を展開するのが狙い。在日イラク大使館も歓迎する「労組PKO」とはー
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■JR西2労組”鉄道魂”で連帯■
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協力を申し出たのはJR西労組と国労西日本。両組合は長く路線対立してきたが、阪神大震災の際に協力しあった経緯もあり「銃よりレールを」と鉄道面でのイラク復興に取り組むことに。先月18日には在日イラク大使館(東京都港区)等を訪ね、ガーニム・アルジュマイリ大使も申し出を歓迎した。イラクはフセイン政権以前、隣国イランから同トルコ方面に抜けるオリエント急行が国内を通っていた歴史がある。しかし、中国、フランスから輸入した車両は老朽化が激しく、バグダッド周辺の鉄路は、米軍の空爆でずたずたに破壊されてしまった。 |
■寸断鉄路「まったく同じ幅」■
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国労西日本の上村隆志委員長は「JR西労組さんとはイラクへの自衛隊派遣反対という点で、意見が一致している。不測の事態に備えて、派遣出来るのは自衛隊と政府は主張するが、現状を見ても自衛隊がまったく機能していないのは明か」と厳しく批判。
さらに構想について「イラクの路線の幅は新幹線とまったく同じ。現在アンマンからバグダッドまで週に4本の貨物列車が通っているが、ペルシャ湾までの2300キロを新幹線が走れば、工事のため雇用創出にも役立つ」と説明する。 |
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■雇用創出も期待■
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JR西労組の杉原清道企画部長も「今の自衛隊が効果的な活動をしているかといえば、はなはな疑問。同じ鉄道魂を持つもの同士、イデオロギーを超え、鉄道復興に連帯することに意義がある」と話す。新幹線活用策には「時速200キロ以上出すには25000ボルトの電流が必要で、高速での運用は難しいだろう。だが、モーターのない客車両の運用はブレーキ構造の問題をクリアにすれば、技術的には可能。実際には、機関車で新幹線車両を引っ張る形になるのでは」と見通しを語る。
派遣されている自衛隊は基本計画の中で、来月14日が駐留期限と定められている。派遣延長には、現地が”非戦闘地域”であることが前提だが、「非戦闘地域ならわたしらが行って活動できるはず。しかし、そうなっていないのが現状」(上村委員長)と強調する。 |
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■自衛隊より有効では■
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「日本アラブ通信」のホームページを主宰する阿部政雄編集長は「もともとイラクの人々は、第二次世界大戦の荒廃から立ち上がり先進国となった日本に尊敬の念を持っている。鉄道での貢献は大きな喜びを持って歓迎されるだろう。駐在する自衛隊は米国の手先にしか見えず、いくら頑張っても尊敬されない。日本の貢献策として何が最も有効かにそろそろ政府は気付くべきだ」と指摘する。
元防衛庁防衛研究所員で桜美林大学の加藤朗教授(国際政治学)はサマワで展開している自衛隊は短期的な視野でしか活動していない。道路の舗装でも1年しか耐久性がなかったり、水道施設も簡易なもので応急手当。結局日米同盟維持のアピールが第一の目的で、地域屁の貢献は二の次になっているのが実態だろう」と分析する。 |
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■連合PKOで何倍もの貢献■
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さらに今回のJR系労組の試みを「興味深い」と評しつつ、もう一回り大きな”夢”を次のように描く。「全国に600万人いる連合の組合員が、1人1万円出せば、600億円の予算を持つ”連合PKO部隊”ができる。鉄道に限らず、医療などさまざまな分野で、1万人に1人の割合で人材を出せば600人の大部隊になる。自衛隊の何倍もの貢献ができるのでは」
(11月10日 東京新聞) |