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2004年11月2日
■”鉄道員魂”は変わらず
 ーイラク復興へ連携 阪神大震災時の経験生かし調査団派遣等を予定ー

 ”鉄道をキーワードに、戦乱で荒廃したイラクの復興を目指してJR西労組(森正暁執行委員長)と国労西日本本部(上村隆志執行委員長)がつくる「イラク鉄道復興・人道支援会議”」の取り組みが本格的に動き始めた。両労組はかつて争いが絶えなかったが、阪神大震災発生時の連携プレーで鉄道の早期復旧に貢献。当時の経験を生かし、今回も現地調査団の派遣を予定するなど具体策も固まり始めた。

■争いの系譜■
国労と、JR西労組の前身である連合系の鉄労はイデオロギーの違いから、国鉄時代に暴力事件やいやがらせが絶えなかった。特に国鉄の分割・民営化をめぐり、鉄労は「民主化を受け入れた上での労働条件の確保」がモットー、国労は「分割・民営化反対」を貫いたことが対立の決定打とされる。
 国鉄時代には国労が最大勢力だったが、現在の組織率は約87%のJR西労組に対し、国労西日本本部は約12%と差が開く。いずれも「組織拡大」は至上命題で、組合員の引き合い合戦は現在も続いている。

■震災を乗り越えて■
 一見、相入れないようにみえるが、「1995年1月の阪神大震災時には協同歩調を取る」ことで一致した。現場では、新幹線の運転士がバスの乗客整理に当たるなど復旧作業に応じ、東海道・山陽本線と山陽新幹線を約2か月半で復旧させることに貢献。鉄道の安全・早期復旧を第一に”鉄道員魂”を発揮した。
 早期復旧について、JR西労組の杉原清道企画部長は「経営者の正しい判断もあった」とした上で「二つの労組が協力して取り組んだことは大きい」と評価。上村執行委員長も「労組として取り込めること鉄道の復興。この時の経験があったから、今回もスムーズに連携を取ることができた」と口をそろえる。

■国際平和実現へ■
 現在、イラク国内の鉄道は首都・バグダッドとトルコ国境間(約560キロ)に貨物列車が走っているものの、戦渦でほぼまひ状態だ。
 9月の支援会議発足後、10月18日に代表者らが駐日イラク大使館を訪れた。両労組によると、ガーニム・アルジュマイリ駐日イラク大使は、イラク鉄道の現状や要望を伝えて情報交換を行うため、現地鉄道員の来日を提案。労組側も「できるだけ早く技術や機材を送るよう努める」と約束した。
 また、イラクの現状などを講演してもらうため、2月をめどにアルジュマイリ大使の来阪を調整中。イラク側の要望を踏まえ、治安の安定後、早い段階で現地への調査団の派遣といった具体策を打ち出す予定だ。
 JR西日本の垣内剛社長は9月の会見で、両労組の取り組みについて「あくまで労組の働き」としながら「状況を見守って対応していきたい」と述べた。
 労組側は「会社の対応は悪くない。イラク側の要望が具体化すれば正式に協力要請していきたい」としている。
11月1日 大阪日日新聞

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