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”鉄道をキーワードに、戦乱で荒廃したイラクの復興を目指してJR西労組(森正暁執行委員長)と国労西日本本部(上村隆志執行委員長)がつくる「イラク鉄道復興・人道支援会議”」の取り組みが本格的に動き始めた。両労組はかつて争いが絶えなかったが、阪神大震災発生時の連携プレーで鉄道の早期復旧に貢献。当時の経験を生かし、今回も現地調査団の派遣を予定するなど具体策も固まり始めた。
国労と、JR西労組の前身である連合系の鉄労はイデオロギーの違いから、国鉄時代に暴力事件やいやがらせが絶えなかった。特に国鉄の分割・民営化をめぐり、鉄労は「民主化を受け入れた上での労働条件の確保」がモットー、国労は「分割・民営化反対」を貫いたことが対立の決定打とされる。
国鉄時代には国労が最大勢力だったが、現在の組織率は約87%のJR西労組に対し、国労西日本本部は約12%と差が開く。いずれも「組織拡大」は至上命題で、組合員の引き合い合戦は現在も続いている。
一見、相入れないようにみえるが、「1995年1月の阪神大震災時には協同歩調を取る」ことで一致した。現場では、新幹線の運転士がバスの乗客整理に当たるなど復旧作業に応じ、東海道・山陽本線と山陽新幹線を約2か月半で復旧させることに貢献。鉄道の安全・早期復旧を第一に”鉄道員魂”を発揮した。
早期復旧について、JR西労組の杉原清道企画部長は「経営者の正しい判断もあった」とした上で「二つの労組が協力して取り組んだことは大きい」と評価。上村執行委員長も「労組として取り込めること鉄道の復興。この時の経験があったから、今回もスムーズに連携を取ることができた」と口をそろえる。
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