本日、JR西労組中央本部と国鉄労働組合西日本本部はイラク鉄道復興・人道支援会議を設置しました。
今日的な日本の政治状況は防衛問題、国際貢献に関して、憲法改正議論や自衛隊の役割についてなど大きな論争が巻き起こされていますが、私たち両労組は政党の代理戦争としてのイデオロギーありきの平和論ではなく、日本の労働組合として国際社会に対してどのような国際貢献ができるのかを真摯に議論し、自衛隊による国際貢献のあり方を論評するだけでなく、労働組合自らが持ち前の行動力を発揮し、世界平和、戦災による国土復興に際して、何ができるのか、何をしなければならないのか、を模索していく必要があるとの結論に達しました。
また、私たちの先人、先輩の経験と功績、すなわち、戦後、焦土と化した国土の復興、国民生活の安定に鉄道が大きく寄与してきた歴史的事実を踏まえれば、私たちが鉄道員魂を発揮し、イラクの鉄道復興に向け行動を起こせば、少なからずイラクの平和社会の構築に寄与できるものであると考えています。両組合は平成7年の阪神・淡路大震災においても、鉄道輸送の重要性に立って力を発揮してきました。その根源にあるものは「鉄道員魂」であり、今回のイラクへの鉄道復興・人道支援活動に共鳴する者も少なくありません。
こうした組合員の鉄道への思いと技術を活かし、イデオロギーを掲げた平和でなく、素朴に鉄道労働者としての国際貢献を追及するため、本会議を設置するに至りました。
両組合はそれぞれの運動課題、例えばJR西労組であれば「地方路線の活性化」や「21世紀の鉄道のあり方」など、国労であれば「JR不採用問題の解決」といった課題を抱えながらも、大局に立った「銃よりレールを」との思いを実現させるため、組織の枠を越え、今日までの組織感情を乗り越えて設置したものであります。
具体的な取り組み内容については今後、本会議において企画していくこととしますが、イラクでは暫定政権に主権移譲されたとはいうものの、未だ、反米武装勢力によるテロ行為などが相次ぎ、民間人が活動できる状況にあるとは考えていません。そうしたことから当面は駐日イラク大使館をはじめ、外務省、国土交通省などに対して情勢把握のための情報収集活動や鉄道を通じた経済支援活動の働きかけ、ODA予算の配分要請行動など日本国内での活動を中心に行っていきます。
イラクでの活動については今後、外務省の退避勧告が解除され、イラク国内の治安が回復し、明らかに非戦闘地域であると認識できる状況となった際には、国土のインフラである鉄道の復興のために、鉄道技術者の派遣や鉄道資材の調達など私たちとしてできる協力を行っていきたいと考えています。
2004年9月13日
西日本旅客鉄道労働組合 中央本部 執行委員長 森 正 暁
国鉄労働組合 西日本本部 執行委員長 上 村 隆 志
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